その後の金融機関の対応に変化があったかどうかという点について私の顧問先のお客様の状況を
例にとってお伝えしたいと思います。
金融庁は金融円滑化法終了に際して「中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針」
において以下のようなコメントを出しています。
・金融機関が、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑化法の期限到
来後に おいても何ら変わりません。
・金融検査・監督の目線やスタンスは、円滑化法の期限到来後も、これまでと何ら変わりません。
・検査・監督を通じて金融機関に対し、関係金融機関と十分連携を図りながら、貸付条件の変更等
や円滑な 資金供給に努めるよう促します。
・円滑化法の期限到来後も不良債権の定義は変わりません。
(貸付条件の変更等を行っても不良債権とならないための要件は恒久措置です)
・個々の借り手の経営改善にどのように取り組んでいるのか、検査・監督において、従来以上に光
を当てます。
上記のコメントからすると、金融円滑化法が終了しても対応に変化はないと理解することができま
すが、実際にはどのような状況になったのでしょうか。
その点について私の顧問先の返済猶予をしているお客様の状況が参考になると思います。
そのお客様は約1年前から返済猶予を受けています。そして、金融円滑化法終了後にその返済猶予
期間1年が経過しましたが、まだ返済をスタートさせるまでには経営状態が回復していない状況でした。
その現状をお伝えして返済猶予の半年間の延長をお願いしたところ、金融機関の担当者から受け入
れて頂くことができました。
この事実からは、確かに金融円滑化法終了後も対応について大きな変化は見られない状況でした。
ただ以下のような対応をとってきたことによって受け入れてもらえたのだと感じています。
・毎月の試算表提出
・毎月の月次資金繰予定表
・毎月の日繰表の作成提出
・毎月の今後の売上見込状況がわかる資料。
・経営改善計画書(10カ年計画書)の作成提出
・上記資料を利用しての金融機関担当者との毎月の面談実施
ポイントは、金融機関に状況をタイムリーに伝えて理解を得ること・経営改善に向けて努力を続けて
いることを伝えることです。
金融機関の担当者も上記の資料を作成して状況を伝えて経営改善に向けて日々努力をしていることが
分かれば、ある程度柔軟に対応をしてくれるものです。
返済猶予期間中努力もせず、資料も提出せず、何も報告もしない状況では、おそらく返済猶予の延長
は受け入れてもらえなかったと思います。
ただし、返済猶予については無期限に延長できるものではないため、返済猶予期間中に抜本的な経
営改善を行っていくことが重要になります。
経営改善計画書が絵に描いた餅にならないように実際に行動を起こしていくことによって苦しい状況を
打開することができるはずです。
経営改善について悩んでおられる経営者の方は、ぜひ税理士法人優和にご連絡ください。
税理士法人優和 京都本部 金山昌泰
記事のカテゴリ:金融機関対策